今回は、普段本を読み慣れていない人でも読みやすく、文章表現の面白さが伝わる本。そんなテーマで選んだ5冊をご紹介したいと思います。
文学の面白さに触れるなら
気まぐれロボット / 星新一
数多くのショートショート作品を世に生み出した『星新一』さんの本です。『ショートショート』とは、10分程度で読み終えらる作品のこと。日頃、忙しくて時間が取れない方でもサクッと読めます。
星新一さんの作品には、『意外なオチ』がいつもあり、短い時間の中でワクワクとした高揚感と驚きを味わえます。時には皮肉やブラックジョークがあったりと。
今読み返しても、昭和47年に書かれた作品とは思えぬ新鮮さがあります。
小学生でも面白く読めると思いますよ、もちろん、大人の方にも。
大どんでん返しが待っている
イニシエーション・ラブ / 乾くるみ
バブル期が舞台の恋愛物かと思いきや、『最後の2行』に大どんでん返しが待っています。文章だからこそ出来る叙述トリックが楽しめます。
映像になってしまうと、画面の情報が全て嫌でも見えてきてしまいますが、小説では全てを書かなくても物語は進みます。
その効果による文章のトリック。ぜひ味わってみてください。
一人称ならではの視点が切り替わる面白さ
六百六十円の事情 / 入間人間
1つの街を舞台に、様々人の視点で描かれる短編連作小説です。ライトノベルのレーベルから出ていますが、摩訶不思議な魔法などは一切登場せず。内容は現代の青春群像劇です。
1章では主人公だった登場人物が、2章では脇役として登場していたり。違う視点で同じ人物を、同じ街を描いていきます。小説は基本的に一人称です。文章だからこその面白さがそこにあり、前章の登場人物を違う物語の中で発見する『楽しさ』があります。
全ての物語が繋がって、『1つの話』がまとまる。そんな作品です。
余談ですが、私が本を読み始めた時に、『小説の面白さ』に目覚めたのはこの本がきっかけです。
短編集として秀逸
箱庭図書館 / 乙一
読んだことは無いけれど、どこかで著者の名前は聞いた事がある。メジャーな『乙一』さんの短編集です。こちらは短編集なので、それぞれの話が繋がっておらず、独立しています。
一冊で何本もの短編小説が読めます。長編ものが苦手な方にオススメです。
個人的には中でも最後の『ホワイトステップ』という小説がとても好きです。ぜひ読んでいただきたい。
文章の余白や、あえて、ひらがなを使った表現など。これも文章ならではの面白さが味わえるのではと思います。
シンプルに文章が面白い
うれしい悲鳴をあげてくれ / いしわたり淳治
音楽プロデューサーの『いしわたり淳治』さんの本です。SUPERCARというバンドのメンバーだった方でもあります。
小説とエッセイがまとまっている本なのですが、個人的には『エッセイ』パートがおすすめ。とにかく文章が面白い、日常をこんなにコミカルに描けるのか。と感心してしまいます。何でかわかりませんが、不思議と読みやすい文体です。おすすめします。
まとめ
という感じで、個人的に選ぶ『本を読み慣れていない人でも、読みやすいのでは』5選でした。気軽に読めるもの、もしくは小説ならではの仕掛けを含んだものを選んだつもりです。
小説や文章に面白さは『想像』する事にあると思います。
例えば、『絶世の美女』という表現があった時に、脳内では想像する限りの最高の『美女』がそこにいると思います。ですが、この表現を映像化した時にはどうしても、それは『綺麗な女優』に置き換わってしまいます。
そんな感じで、小説ならではの想像力を刺激される感覚を、ぜひ味わって頂けたら幸いです。参考にしてみてください。