【本のコト】服から想像するその人の人生

坂口恭平さんという建築家をご存知でしょうか?
「建てない建築家」「小説家」「絵描き」「歌い手」「新政府初代内閣総理大臣」などの様々な肩書きを持った、熊本出身の方です。
坂口恭平さんを知るには著書に「独立国家の作り方」という本を読むのがおすすめです。
その著者がファッション誌POPEYEで2012年〜15年にかけて連載された分を加筆・訂正・されたものです。

服を通した人生模様
坂口恭平さんのアンテナに引っかかるアーティスト、服屋、作家などの職業の方々イラストを混ぜながら30人、取材しています。
この本の面白いポイントは、序盤こそ服を中心に文章は展開されているのですが、それは後半にかけて次第に変化。後半は、取材した方々の人生と生き方を中心に、人物を紹介するルポへと変わっていきます。
ファッション誌での連載なのに、ファッションを無視し始める。それだけでも面白い一冊です。
個性的な方々ばかり登場するのですが、一貫しているのは「自分の人生を貫いている」という事。「想いや思想」が強すぎるあまり、最初は世間から受け入られず、はみ出し者のように生きる人達にも、次第に賛同者は増え始める。世の中に対して自分がどう関われるのか、何を発信出来るのか。それを真剣に考え行動する彼らはとても純粋でピュアな方々だと思いました。
本の中で紹介されている森本志郎さんのインタビュー内で、「自信を持って独学で研究し続けたら何でも出来るのに、今はその粘りがない。」と語られています。
この言葉、確かにそうだなーと思いました。
基本的に現在世の中にある物や事の最初は、誰かの独学や研究から始まっていますからね。
インターネットや便利になった世の中のおかげで最初から「一流」に触れられるので、それらは便利な反面、「試行錯誤」する機会やチャンスを失っているのかもしれません。
最初は不恰好なのは当たり前。綺麗な物が溢れすぎている時代で、不恰好な物を世に出すのは勇気が入りますが、きっと最初はそれで良いのです。
インターネットに正解を求めるのではなく、自分の頭で考え行動したいなと改めて思いました。
そんな事を思わせてくれた一冊でした。坂口恭平さんの文章は、どこか脱力感がり読みやすいですので、さらっと読めますよ。